提供:ゲンキ3ネット
三重を代表する村おこしの拠点であり、全国から視察団が訪れるところ。
それが松阪市宇気郷地区にある「うきさとむら」。
松阪市街から車で30分ほど、山々に囲まれたその地で、隊長は「かあちゃん!」と言いつつ泣いた!
松阪市街から国道166号線を飯南・飯高方面へ。
途中で右へ折れると、どんどん道が細くなり、そして右へ左へ激しくターンしながら登る坂道になる。
ワタクシの愛車である軽トラの「いとう君2号」(※名前の由来は過去記事で探してみてください。笑)だと、ギアを3速に入れても苦しい。
エンジンがゼエゼエ言っている(笑)。
そんな苦労をしてたどり着いたのが、松阪市柚原町。
かつて「宇気郷村(うきさとむら)」と呼ばれた地域である。
ここに、三重を代表する村おこしの拠点がある。
その名も食事処「うきさとむら」。
活動の歴史は古く、さまざまな取り組みを成功させてきた「うきさとむら」には、全国から視察団がやってくる。
きっかけは、路線バスだった。
昭和63年、過疎化によって路線バスの廃止が決定。
それを受けて地元の婦人会が「早起き市」をスタート。
バスの利用者が増やし、路線バスの存続を求めたのである。
これが「うきさとむら」の原点となり、
外から若者や環境ボランティアグループを招いてのイベントの実施、そして交流施設の建設へとつながり、現在の「うきさとむら」ができあがったのである。
現在うきさとむらでは、特産品を使ったメニューが食べられる食堂と野菜や加工品が並ぶ店舗を運営。
こんにゃく作りなど、地元住民が先生になって行う体験プログラムも用意。
毎月第3日曜には「早起き市」、毎年2月には「ジャンボ七草粥まつり」、
そして8月初旬には「夏まつり」も開いている。
交流施設の裏手にあるこの吊橋も、ボランティアの人たちによってつくられたもの。
なかなか本格的なのである。
「よーし、今回のTOP写真はここにしよう! 橋の真ん中でポーズをとるからそれを撮るのだ!!」
サルシカ隊長であるワタクシは思いつきで行動する。
スタタタと身軽なところを見せて、橋に飛び乗る。
揺れる。
ぐらんぐらん揺れる。
思っていた以上に。
「うわ、わわわわわ!」
「こっち来んな、そこで撮れ! 橋が揺れる!」
「ひええええええええええ!」
もうワタクシひとりで騒いでいるのである(笑)。
本編にまったく関係のない写真を撮るために、すごい労力なのだ。
ワタクシはすぐさま引き返したが、この先は1周40分ほどのハイキングコースが整備されている。
ハイキングコースのレポートは他の誰かに任せるとして、ワタクシは食事処に入っておいしいものをいただくとしよう(笑)。
お出迎えしてくれたのは、「うきさとむら」の代表の西井さん。
70歳をこえていらっしゃるのに肌がツヤツヤ。
そして人の目をまっすぐ見て話す。
すこぶるまっすぐな人なのだ。
代表のこの人がまっすぐだから、ここまでブレることなく、「うきさとむら」は活動を続けてこられたに違いない。
ひとしきりお話を聞いてから、いざ食事メニューの撮影と試食へ。
西井さん「何から食べます?」
オクダ「何を食べたらええですか?」
西井さん「何を食べたいの?」
オクダ「いや、ボクが何を食べたいかではなく、何を西井さんが紹介したいかということで・・・」
西井「うーん、何にしよ・・・」
オクダ「何にしましょう・・・?」
二人はまったく前に進まないやりとりを続ける(笑)。
で、決めたのは、超定番のこちら!
細雪うどん(550円)。
ささめゆき、と書いて、ささめうどんと読む。
まばゆいほどに緑に輝く麺である。
実はこのうどんには、松阪特産のモロヘイヤの粉末が折り込まれている。
細麺なので茶そばみたいに見えるが、色が鮮やかである。
つややか、という言葉は、これを表現するためにあるのではないか、と思う。
麺は自家製。
最近でこそつくる量が多く、切るのは機械だが、あとは手作業。
練って踏んでコシを出す。
撮影が終わって試食。
おーし、どれどれ・・・・。
ズルズル・・・。
もぐもぐ。
うーむ・・・・
むむむむむ。
そして最後に・・・・「うんまい!」
テレビの撮影と違って(※注:隊長は三重テレビの情報番組に出演してます)写真はすぐさま感想を言わなくていいからいいのだ。
しっかりと味わえるのだ。
麺はきっちりと冷えている。
そしてツルツル。
モロヘイヤの成分のせいか、歯が滑るほどツルツル。
しかも歯ごたえがあり、そして噛みしめるうちにモロヘイヤの風味が静かに口の中に広がってくる。
うまい。
これ以上の表現はワタクシには出来ない(笑)。
細雪うどんに舌鼓を打っていると、今度はパチパチと油のはぜる音と香りが。
「うどんだけじゃ足りんやろからいま天ぷらつくっとるでね」と西井さん。
たぶん西井さんが言っているのは、取材内容を気にしてではない。
ワタクシのお腹を気にしてくれているのだ。
で、何の天ぷらかと思って厨房をのぞかせてもらうと・・・
それは山菜ならぬ、薬草の天ぷら。
西井さんに教えてもらい、メモをしてきたものの、どれがどれだかもうわからない。
一応列記しておくと、
柿の葉、ふき、こうどり菜、レモンハーブ、冬ワラビ、ドクダミ、杜仲の葉、ユキノシタ、げんのしょうこ、おおばこ、あざみ、みつば、よもぎ、すぎな、たんぽぽ。
どれもこれも、近くの山で採ってきたものばかり。
しかし、昔から食べてきたのはほんの数種類。
あとは「うきさとむら」を立ち上げたときに、ちょっと変わった名物料理をつくろうと、わざわざ薬草学の『樋口先生』に来てもらい、勉強したのだそう。
確かに原材料はタダだけれど、
例えば『セリ』でも『毒ゼリ』というのもあるので知識が必要だし、
天麩羅にするのは新鮮でないとダメなので、2日おきに採りに行っているそう。
手間がかかっているのだ。
西井さんに説明を受けつつ、薬草天ぷらを食すワタクシ。
生地に塩を入れているのでそのまま食べられる。
まず最初に食べてびっくりしたのが、柿の葉。
肉厚で甘みがあってうまい。
そこらへんにある柿の木の、若い葉ならどれでもいいらしい。
これなら家の庭に山ほどあるぞ。
自然のめぐみはホント、身近なところにあるのだなあ。
逆に気になったのが、すぎな。
こやつは畑とかにすぐ生える憎き雑草である。
しかも根を張ってしぶとく、かなり陰湿な嫌われ者である。
こんなヤツを食っちゃっていいのか。
とにかく雑草や柿の葉が食材となれば、我が家は安泰だ。
高値で売れるようになったりしたら、もはや億万長者である(笑)。
そんなバカなことを話しつつ食べるワタクシであった(笑)。
すべていただいてお腹がポンポコリン。
が、西井さんはまだ手を緩めない。
続いての攻撃に移る。
細雪うどんに次いで人気なのが、草餅。
すべてを地元のおかあさんたちで作っている。
その人気の草餅に新作が誕生したという。
それがコレだ!
煎り玄米まぶし草餅。
草餅に玄米を炒って砕いたものを載せたもの。
この玄米の香りがたまらなく芳ばしい。
これは西井さんが突然ひらめいたものらしい。
すぐさま試作してまわりの人に食べてもらったところ評判が良く、少し改良してすぐさま商品化!
「思いついたらすぐ動く!」
これが私のやり方と西井さんは笑う。
が、思いつきだけではなく、お客さんの反応をしっかりと見て、感想を聞いている。
そしてどんどん改良していく。
これは草餅の変遷である。
左は昔のままの大きなサイズ3個入り。
真ん中は小6個入り。
右は煎り玄米まぶし草餅入り。
大きいサイズだと食後にはちょっと重すぎるという意見があり、小さいサイズのものを。
そして同じ味だと飽きがくるだろうからと煎り玄米で変化を・・・・。
このリサーチ力、分析力はさすがである。
「すいません、もう食べられません・・・」
「じゃあ、持ってきなさい、いま包むから!」
そんなやりとりをしているところ(笑)。
今回の取材は常時西井さんのペースで、隊長はタジタジであった。
で、帰る間際になって、こんな話を西井さん話しだすのである。
なんとこの9月15日(2011年)、ジャズドリーム長島のフードコート『NAGASHIMA KITCHEN』に、「かしわ焼肉 うきさとむら」がオープン。
三重県各地のご当地グルメが出店する中に、
松阪代表として、うきさとむらで人気の「とり焼」が販売される。
鶏肉はうきさとむらで使っているものと同じもの。
タレも、うきさとむらでも使っている、西井さん手作りのものを、宅急便で送ることになっているとか。
「ちょっと西井さん! そんな話題のものをどーして出してくれなかったんですか。それこそタイミング的に紹介すべきじゃないですか」
が、西井さんは笑ってるばかり。
「また今度きて食べたらええわさ」
まったく今回は、最後の最後まで西井さんのペースのままだ(笑)。
「うきさとむら」はこの拠点での活動の他、
松阪インターそばのベルファームに支店を出しており、そして今度はジャズドリーム長島にまで!!
西井さんをはじめ、スタッフのみなさんのパワーには頭がさがる。
このパワーは一体どこからくるのか。
ひとつ言えることは、
「ゲンキな村おこし、町おこしの影には、ゲンキなおばちゃんあり」
である。
というわけで、「うきさとむら」のレポート・・・
たぶんまたいつかやります(笑)。